一級建築士製図の作図手順

3時間以内で完成!作図手順と時間配分

作図は3時間以内を目標とすることは、総合資格や日建学院などで指導されるかと思います。
そのノウハウはそれぞれの学校や個人で違うと思いますが、自分で決めた手順で作図することが大切です。
毎回手順が違うと、描き漏れのリスクが高くなることと、次に描くものを迷う機会が増えるため時間のロスにつながります。
3時間以内で描ける実力さえつけば、正直 どういう手順を踏んでも問題ないと思いますが、はじめから手順を決めて描くことを意識して作図練習に取り組んでください。

イメージトレーニングで作図手順を記憶

作図手順は、机に向かう時ではなく、スキマ時間にイメージトレーニングで身につけてください。
作図手順をスマホに撮るなどしていつでも見れる状態にしておくことをオススメします。 今回は、その記憶するべき作図手順を紹介します。 自分が総合資格出身なので、総合資格に手法が近いですが、日建学院の手順や、自分のオリジナルでもかまいません。
順番が重要なのではなく、自分が決めた手順を守ることが大切です。 描くたびに手順が変わるとスピードと精度が落ちますが、逆に毎回同じ手順にすることで、スピードと精度が格段に上がります。

「3平面図+断面図」の作図手順

手順 名称 時間
(3H)
作業内容
第1段階 15分 ・面積表
・柱通りの通り芯(補助線)
・寸法線
・柱
第2段階 壁補助線 15分 ・内部の壁芯(補助線)、建具の位置
第3段階 45分
(35分)
・外周の壁
・間仕切り壁
・外周の壁
・階段、EV
・吹抜け
・PS、DS
・屋根、庇
・断面図の切断線
第4段階 梁伏図 20分 ・外周部の壁の位置(補助線)
・内部の躯体壁の位置(補助線)
・外周部の壁
・内部の壁(躯体壁)
・大梁、小梁の位置(補助線)
・大梁、小梁
・吹抜け、EVシャフトの位置表記
・階段
・庇
・部材符号
・構造部材表
第5段階 断面図 25分
(15分)
・通り芯を梁幅で2本(補助線)
・高さ方向の基準レベル(補助線)
・間仕切芯(補助線)
・大梁、小梁位置(補助線)
・壁、スラブ
・大梁、小梁
・天井
・間仕切
・屋上設置物
・寸法線
・文字(室名等)
・断面図の補足
第6段階 外構 10分 ・駐車場
・駐輪場
・広場
・目地
・最低限の植栽表現
第7段階 内部 25分
(20分)
・便所
・什器(家具)
第8段階 文字 25分 ・文字(室名、面積、寸法 等)
第9段階 補足 10分 ・図面への補足
第10段階 外構 5分 ・植栽表現
・広場やテラスに斜線追加
合計 3H
(2.5H)

面積表は最初に書く

総合資格では、寸法線や柱を描いた後に、面積表を書くように指導されたが、自分は最初に面積表を書いておくことをおすすめする。
その理由は、面積表の描き忘れは、一発ランクⅣだからです。 エスキスのときに既に面積は確定しているので、それを元に念のため もう一度電卓をたたきます。

太い柱にマル、柱不要位置にバツ

柱は、テンプレートを使って、700角の柱であれば、3.5のテンプレート、800角であれば、4.0のテンプレートを使って、ごりごり描いていきます。
柱を太く描くと図面が映えるという理由で、通常は0.5mmだが、柱だけ0.7mmや0.9mmのシャープペンに持ち替えて描く人も多い。 ただ、自分の場合は、シャープペンシルを持ち替えるのが面倒でやらなかったし、わざわざ芯の太さを変える必要はないと思います。
柱の作図でポイントは、太い柱位置には、あらかじめ 薄く小さな丸を描いておき、柱不要位置には、薄くバツを描いておきます。 こうすることによって、テンプレートで柱を描くことに集中できます。
なかには、先に太い柱だけ描いておくという手法もありますが、どちらでもよいと思います。

内部の補助線では平行定規を使わない

最初の頃は、内部の補助線に時間がかかる人が多い。15分で終わらせたいところを30分くらいかかることもよくある。
この時間がかかっている原因の多くは、きれいに描きすぎていることです。 内部の補助線は、完成図面には不要なもので、なるべく薄く描きます。 そのため、きれいさは求めません。
内部の補助線は、この後の壁線を描くときの効率化のために描くものです。 作図が速い人の多くは、ここをフリーハンドで済ませます。 フリーハンドでもいいですが、自分は、内部の補助線は柔らかい小さめのテンプレートがおすすめです。総合資格で販売している水色のテンプレートとか、市販されているものでも小さめのテンプレートです。 テンプレートは柔らかく扱いやすいのでちょっとした線を描くときには重宝します。
ただし、建具位置や開き戸なんかは全てフリーハンドが良いと思います。
総合資格オリジナルテンプレート

壁は横線と縦線を別々に描く

壁は、まず外周を全て描いてから内部の横線を全て描いて、その後に縦線を描くと作図スピードが格段に速くなります。
自分は先に横線を描いていましたが、先に縦線でもOKです。
また、先に外壁と言いましたが、外壁も含めて一気に 縦と横を描く人もいました。どちらでもかまいません。

文字よりも先に什器を先に描いておく

総合資格では文字よりも先に什器を描いておくように指導され、作図が上手な人はその通りやっていたので、おそらくそれが速くてきれいな図面を描くのにはてきしていると思います。ソファーやテーブルなどは、エスキスの段階で位置をだいたい決めているようです。
しかし、自分の場合は、トイレは先に描いておいて、次に、要求室の部屋ごとに、課題文を見ながら、家具や文字を部屋ごとに仕上げるようにしていました。 こっちの方がやや時間がかかると思いますが、課題文をよく見ながら描くので描き漏れはおこりにくかったと思います。

外構の植栽は最低限でよい

作図に慣れてくると、植栽表現に凝りだす人が出てくるが、気にしなくてよい。 しかし、ここは植栽のつもりということが、採点者に分かる最低限の表現はしておかないと、使途不明な場所と判定されたら減点になります。
自分は、2重線で囲ったうえで、植栽表現としてはオーソドックスな ふにゃふにゃの線だけは描いていました。最後、時間が余ったら、中を斜線で塗ってました。 やってはいけないのは、図面の補足が少ない段階で、一生懸命 植栽をきれいに仕上げるのは採点上は無駄です。 植栽表現を豊かにすることよりも、図面への補足を1つでも多く描くことの方が優先度が高いです。

図面への補足で差がつく

図面への補足をいかに書けるかで、作図密度という意味では、かなり差が付きます。 少なくとも、10ヶ所以上に補足を書くとよいでしょう。
図面への補足は、記述の解答用紙を見ながら書きましょう。 図面への補足で、何を優先して書くかは、絶対記述で問われている内容です。 例えば、記述で「建築物の環境負荷低減について考慮したことを述べよ」という問題があって、その解答として、「LOW-E複層ガラスを採用することにより熱抵抗を大きくし、開口部からの熱損失を最小限に抑えた。」と書いたとすると、図面には、「環境負荷低減に配慮して、LOW-E複層ガラスを採用」と簡略化して書きます。
採点者は、図面と記述の整合性も重要視すると言われています。 また、採点者がもっとも見たい部分も、記述で問われている内容ともいわれます。 つまり、記述で問われていることを中心に図面への補足に反映するべきです。 記述で聞かれていないところを一生懸命補足説明しても、さほど採点上影響は少ないと、個人的には思います。

広場の斜線はおすすめ

総合資格の解答例を見ると、広場や光庭を斜線で目立たせているのを見かけると思います。 植栽表現よりも、こちらの方が観た人へのインパクトは大きいと思います。 総合資格の解答例を見ると、あまり気にせず線を引いているようですが、文字とかテーブルとかは避けて線を引いた方が仕上がりがきれいです。

駐車場の車は最後

総合資格の解答例には、必ず駐車場内に車を描きます。
ただし、日建学院やTACにはありません。試験元の標準解答例にもありません。 描いた方が見栄えがいいですが、けっこう面倒なので、最後に時間が余ったら描く程度で良いと思います。描かなくて減点はないと思います。

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