一級建築士製図エスキスの階振り分け

手順(9) 断面検討

エスキスの手順(9)では、断面検討を行います。
要求室をどの階に配置するかを検討し、課題で要求されている延床面積で対応できそうかの検証を行い、仮決定するところまでを行います。


部門ごとの面積バランスを調べる

断面検討で最初に行うことは、部門毎の面積バランスを調べることです。
その理由は、部門毎に固めて室配置するのが望ましく、その究極が階別ゾーニングなので、 まずは階別ゾーニングできないかの検討から入ります。

下図例では、生涯学習部門が他よりも少な目なのが分かります。
また、この課題は、共用の中に、2層にわたる200㎡の大空間があるので、その上部吹抜の部分を 生涯学習部門にもってこれば、階別ゾーニングできそうだなぁというイメージが湧きます。



階の振り分けを検討

階の振り分けの検討方法は、予備校の指導方法も特色がありますし、人それぞれです。

総合資格は、エスキス用紙に室名を書き出していきエスキス用紙内で検討します。
日建学院は、下図のように、問題用紙の要求室の横に丸を書くことで検討します。
効率的な日建学院方式で解説します。

まずは、問題文に設置階指定されているものや、エントランスホールなど、 明らかに階が特定されるものを赤丸とします。

次に、決定ではないけど、仮にその階に一旦 仮置きしてみるものを、 塗りつぶさない赤丸にします。
これは、後でバランスを見て、階を移動します。

大空間の場合は、上部吹抜となり、その部分は上階では使えない面積となるので、 分かるように、下図の多目的ホールのように、吹抜マークを付けておきます。



想定した階振り分けを図示

想定した階振り分けのイメージを簡単に図示すると、 次の階毎の面積バランスがスムーズにできます。
大空間の上部吹抜や屋上庭園などは、このような図示をしないと、後のバランスの計算で漏れることが多いので、この図示は大変重要な作業です。



想定した階振り分けのバランスを検討

実際に、自分で想定した階振り分けの面積を各階で算出してみましょう。

2、3階の面積が同じくらいで、1階だけ50~100㎡程度大きくなっていたら、抜群のバランスです。
1階だけ少し大きいのは、この課題文の要求で、エントランスホールはありますが、 2階ホール、3階ホールの要求がないからです。

下図の場合は、抜群のバランスとなっています。

この作業の注意点は、「屋上庭園」や「吹抜」や「大空間上部の吹抜」を漏れなく考慮することです。
これを漏らすと、後工程でうまくいかなくなります。


1フロアあたりの必要面積を算出

階振り分けした後の面積バランスが、問題で与えられた延べ床面積で対応できるかの逆算のようなチェックを行うことが出来る裏技があります。(下図)

まず、延床面積の最大値に、吹抜や屋上庭園など、延床面積には含まないが、スペースとしては必要なものを足します。

その合計値を階数(3階建なら3)で割ったら、この課題で理想とされる1フロアあたりの面積が算出されます。
下図の例では、1040㎡が理想の1フロアあたりの面積です。

さきほど算出した階振り分けの1フロアの最大値が720㎡で、それと比較すると、1.44倍(1040÷720)となります。
この1.44倍は、廊下やトイレなど、課題の要求室にはないものを追加するための係数ですが、 1.4倍前後が理想的なので、階振り分けがうまくいきそうだということが想定できます。

もし、廊下係数が1.3未満の場合、その後のプランニングは、かなり難しくなります。



まとめ

いかがでしたか? このページでは、エスキスの手順(9)の断面検討を勉強しました。
要求室をどの階に配置するかを検討し、課題で要求されている延床面積で対応できそうかの検証を行い、仮決定するところまで、自力でできそうでしょうか?。
繰り返し同じ問題でも良いでも手を動かしてやってみれば必ずできるようになりますので頑張ってください。

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