一級建築士製図試験の合格への対策
2年連続不合格の角番生にぜひ知ってもらいたいのは、製図試験に2回以上落ちる人というのは何か原因が必ずあります。
その原因を突きとめておかないと、3回目の不合格をもらう可能性があります。
製図試験に2回以上不合格となる原因は、下記の3つのいづれかの原因だと思います。
この3パターンそれぞれの対策と合格するコツを紹介します。
一級建築士の製図課題が発表される7月末から10月上旬まで3か月もない短い間に
図面を20~30枚、頑張る人は40枚ぐらい描くことになりますが、そのような人達の多くは合格していきます。
逆に、資格学校の宿題すら全部出来ず20枚も描けないような人の多くは不合格になります。
おそらく作図も3時間で描けないでしょう。その不安から試験本番もエスキスが不完全なまま作図することを余儀なくされたでしょう。
特に2年目3年目は注意が必要です。製図初受験の人に囲まれて勉強していると、自分はよくできる方だと勘違いするのです。 他の人より作図も早いでしょうから、周りからちやほやもされるでしょう。
2年目以降であっても1年目と同様、30枚ぐらい図面を描かないとダメだと認識しましょう。
2年目だから少ない時間でOKなんて絶対に思ってはいけません。
時間の確保ができない人は、下記の2パターンの人がいます。
「仕事が忙しい」というのは、ほとんどの受験生が悩むことです。
1級建築士を目指しているのは、仕事にもそこそこ慣れてきた入社5~6年目の30代の人が多いと思います。
ちょうど会社の中で、それなりに責任のある仕事を任されて始めている頃だと思います。
「一級建築士の勉強があるから早く帰ります。」とか、「勉強するので休みます。」とか言いづらい立場だと思います。
しかし、そうは言っていられません。
職場に「2か月後に一級建築士の製図試験があり学校も通うのでご迷惑をお掛けします。」
と声高く宣言しちゃいましょう。
言う相手が多いなら、上司など特別な人だけ直接会ってお詫びをし、
その他の人はメールでもいいと思います。
普通の職場であれば、「頑張ってね!」と励ましてくれることはあっても、嫌な顔をされることはないと思います。
そこで嫌な顔をされるような職場で、試験勉強の足を引っ張ってくるような人がいる職場だったとしても強引にでも休んで勉強した方がいいです。
それで関係が崩れるようなことであれば、
一級建築士合格後、一級建築士の資格をもって転職すれば良いことです。
一級建築士をもって就職活動すると、いろいろ選択肢があってもっと自分に合った職場が見つかると思います。
それくらいの覚悟をもって、勉強に集中しないとダメだということを言いたいわけです。
「小さい子供がいる」というのもかなり不利です。
これは、夫婦、もしくはおじいちゃん、おばあちゃんに協力をお願いするのがいいでしょう。
それが無理なら、2ヶ月ちょっとの間は、お金がかかりますが、ベビーシッターや一時保育などを利用してでも時間を確保するべきです。
予備校に通るのに50万程度かかると思いますが、今年落ちたら、来年また50万払えますか?
それなら、一時保育などはもっと安く済むと思います。
また、お盆休み中に作図スピードアップすると言われていますが、その大切な時期に、帰省している人はダメです。
移動にも相当時間がかかりますし、帰省先で落ち着いて製図に取り組むことが難しいのは容易に想像がつきます。
事情を家族に説明して、自分以外で帰省するか、諦めてもらいましょう。
受験生のほとんどがお盆の間は、1日中製図に向き合って過ごしていることを考えると、帰省のロスは計り知れません。
逆に、帰省先の祖父祖母などが、協力的であれば帰省するのもありかもしれません。
例えば、子どもの遊び相手になってくれたり、食事の面倒を全て見てくれたりしたら、むしろ製図の勉強に集中できる可能性もあります。
合格するコツというのは、「課題の条件で重要なものを見極めそれを守る」という1点のみです。
「なんだ、当たり前のことじゃないか!」と思ったでしょうか?
まずは、製図試験の合格のハードルは意外と低いと
いうことを理解する必要があります。
毎年ランク4が10~25%程度います。 仮に20%がランク4だとすると、
ランク1が40%、ランク2が20%、ランク3が20%ぐらいの割合になります。
もし、課題の条件で重要なものを守っているならば、どれだけ図面が汚くても記述がいまいちでも、おそらくランク3はないです。
そう考えると、課題の条件で重要なものを守っていることで、ランク1(40%)か、ランク2(20%)のどちらかなので
3人中2人は合格すると考えることもできます。
まずは、課題の条件で重要なものを見極めることができるようにならなければなりません。
これは、課題をこなしていくうちに理解していくことになると思いますが、
主に下記の内容は重要です。
特に、高さ制限や建蔽率など集団規定に関する内容は一発ランク4の可能性が高いので特に注意が必要です。
課題特有の「動線計画」「景観への配慮」「ゾーニング」等の条件をはずすと、ランク3の可能性が高くなります。
課題の条件で重要なものを見極める力がついて来たら、
次に重要なのが「中間チェック」と「最終チェック」の時間の確保です。
これが合格の最大のコツと言ってよいでしょう。
不合格になる人の多くは、この2つのチェック工程が不十分です。
作図時間を削ってでも、この2つのチェック時間を確保した方がいいです。
逆に、何が重要か見極めができて、「中間チェック」と「最終チェック」をやったら
合格しないわけがないと思います。
チェックに時間を取れないなら、トイレの便器を書かずに「男子便所」「女子便所」などの文字だけで済ませたり、
レストランのテーブルを書かかずにチェック時間に回した方が合格に近づくと思ってください。
予備校では優秀なのに、なぜか本番ではその力が発揮されず不合格となる人は毎年必ず一定数存在します。
そういう人達は、緊張感により不安な気持ちを持ってしまったり、普段考えないようなネガティブな思想が支配して
ちょっとした想定外の課題条件に惑わされて、試験中にぷちパニックになってしまうのです。
冷静に考えると突破口が分かることでも、過度な緊張状態では、良いアイデアが思いつきません。
6時間30分という長丁場の製図試験です。 誰にでも1回や2回、自分のミスに気付くことがあると思います。
それを冷静に対処できる人は合格するし、パニックになって泥沼にはまる人は不合格になるのです。
本番に弱いと思ってしまう人は、正確によるところが大きいと思うので、
突然直るものではないと思いながらもいろいろ対策があります。
まずは、普段からプレッシャーをかけながら問題を解いてください。
時間を気にせず課題に取り組んだり、作図に取り組んではいけません。
常に時間を計測して時間へのプレッシャーを感じながら勉強してください。
そうすると、ある程度、時間に焦る状況を毎日作れます。これは良い訓練になると思います。
また、プランで何かやらかしてしまったことに気づいたパニックから脱出する訓練もできます。
それは同じ課題を解いた他人の図面を多くみて、それぞれの一番減点が大きそうなところを探します。
それを5分で修正案を作る訓練をしてください。5分というのがミソです。ちょっとした変更で大減点を回避するべきです。
本番では、ミスに気付いても修正に大きな時間は確保できません。
この他人の添削は周りの協力が必要です。ぜひ予備校の中で友達を多く作って、図面の写真を撮らせてもらいましょう。
家に帰ってから、勝手に添削しまくるのです。時間があれば、もちろん予備校にいる間にやってもよいです。 修正案を教えてあげると喜ばれるかもしれません。
この訓練で、非常時のリカバリー能力が半端なくつきます。
どんなことが起きても、いつでもリカバリーできるという自信がつけば、プレッシャーにも勝てます。