一級建築士製図の建築的常識

知らないと大減点!建築的常識とは何か?

一級建築士設計製図試験は、普段 建築設計に携わっている人は、初受験でもあっさり受かって、 ちゃんと勉強しているにもかかわらず2回、3回受けても合格できない人がいます。
その原因は、もしかしたら、課題文に書かれている条件以外にも守るべき建築的常識が出来ていない可能性があります。 その建築的常識とはないかを見ていきましょう。


見通しの良い廊下

見通しの良い廊下にしないといけないというのは、課題文のどこにも書かれていないですが、 これができていないと、間接的に「安全な避難経路の確保」「利用者の利便性」など、いろいろな減点の対象になります。
プランとしての仕上がりも見栄えが悪くなり目立ちます。
建築計画ができない典型的な項目なので採点上、厳しいです。

廊下は芯々2m以上

壁の芯々で最低2m以上、利用者が使う主要な廊下は2.5m以上が望ましいです。
バリアフリーへの配慮として、建築物移動等円滑化誘導基準では、有効寸法で1.8m以上の廊下幅が必要です。
柱型があるので、芯々2mだと確保できません。2.5m確保しておけば間違いないです。

無窓居室を避ける

法律上、窓のない部屋は無窓居室となり、採光や換気でややこしい扱いになります。 やってしまったら減点は免れないでしょう。重要な部屋だったら大減点です。


大部屋の出入口前は人溜まりスペース

大人数が利用する室の出入口前には、多少ゆとりのあるスペースを確保しましょう。スペースが確保できたら、図面の補足として、「人溜まりスペース」と追記しておくと好印象です。
可能であれば、2ヶ所の出入口があれば、さらに印象が良いです。


利用者階段はバリアフリー対応

課題文に階段のことまでは触れられていないかと思いますが、利用者階段がバリアフリー誘導基準を満たす仕様にになっていないと 利用者への配慮不足となるでしょう。

2方向避難に対応

課題文には「避難等に配慮する。」などの文言が入っていることが多いです。
さらに、平成30年の問題文には、「地上に通ずる2以上の直通階段を適切に計画する」と記載されています。
これだけ書かれているにもかかわらず、2方向避難が確保されていなかったら大減点は免れないですが、 問題文に書かれていなくても、配慮が必要な建築的常識になります。
屋内に階段を2ヶ所設けるのが難しい場合は、避難用の屋外階段も検討しましょう。

共用便所は各階に設ける

共用便所は、男女別に各階に設ける必要があります。
さらに、その階の使用状況で、どれくらいの規模で必要なのかを考えて大きさ(便器の数)を決める必要があります。

例えば、1階と2階が利用者の中心で、3階は利用者が少ない建物の場合、共用便所は、1、2階には多めに計画し、3階は小さい規模で便所を計画すべきです。
このあたりを適当に計画すると、常識はずれな計画となります。

職員用便所

「職員用便所」「管理者用便所」「従業員用便所」など、課題文の管理者側の呼び方により図面に表記すべき便所名が変わります。
職員も利用者の便所を兼用することは実務ではありますが、明確なゾーニングという意味ではよくないです。

スペースがなければ、1m×2mのサイズで、男女共用でもいいので、1つは職員用便所を計画してください。

オストメイト対応の多機能便所

オストメイト対応とは、オストメイト用流しが必要となり、普通の多機能便所よりも広いスペースが必要となります。
できれば2m×3mのサイズが欲しいですが、スペースがなければ2m×2mの多機能便所に、言葉で「オストメイト対応」と書いておけば大丈夫かと思います。

通用口

ほとんどの場合、要求室の最後に「通用口」を設けることが記載されていますが、これを漏らすと、動線計画として不適切となります。
出入口の作図表現に加えて、「通用口」という文字も描きましょう。

倉庫

倉庫は建物に最低1個、できれば各階に1個以上設けるのが望ましいです。
もしスペースがなければ、2m×2mのサイズでもいいので計画してください。

ゴミ置き場

平成28年の問題文は、「ゴミ置き場」となっており、標準解答例2つ共、外の道路に面するところにゴミ置き場が計画されています。
平成29年の問題文は、「ゴミ保管庫」となっており、標準解答例2つ共、建物内部に「ゴミ保管庫」が計画されています。
平成30年の問題文は、「ゴミ置き場」となっており、標準解答例1は建物内部に「ゴミ保管庫」という表現で計画されていますが、外部からしか入れないようになっています。

天井高

問題文の中にある要求室で天井高が指定される室があれば必ず守る必要があります。
しかし、その指定がない室についても天井高は2700mm程度確保するようにしてください。 階高4000であればそれが可能です。

さらに、便所など狭い空間では、2500などとし、若干 天井高を抑える計画としていることが断面図から読み取れたら採点者に好印象を与えることが可能です。

室形状

使う目的により違いますが、極端に細長かったり、矩形でない室はなるべく避けるべきです。
問題文に辺長比の指定がなかったとしても、辺長比2以下となるように心掛けましょう。

課題文の指定で、1室を2室に分割しても利用できるようにしなければならない場合もあります。
そのときは、分割する前と後で、どちらの使い方をしても辺長比2以下となるようにしたいです。

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