一級建築士製図 過去問の計画の留意事項

計画の留意事項で採点基準が分かる

計画の留意事項は、毎年 似たようなことが書かれているので、軽視されがちですが、おそらくここに書かれている内容がそのまま採点の項目になっていると思われるので、重要な内容となります。

過去の文言をよく見ておき、試験当日の課題読み取りでは、いつもと違うところを探すことに集中するのが良いと思います。

2018年(平成30年)の試験においては、課題発表と同時に「計画の留意事項」が事前発表され、さらに課題文にはそれとは別に、多くの「計画の留意事項」が示されました。
結果的には、連年にも増して気を付けることが増えたわけですが、今後もこの傾向が続くものと考えられます。


バリアフリー、セキュリティ


建築物はバリアフリー、セキュリティ等に配慮する。

ほぼ毎年出題される項目です。

バリアフリーについては、アプローチや浴室での段差処理や、適切な廊下幅が確保できているかが問われます。

セキュリティーについては、受付カウンターが入退管理することができる位置にあるか、屋外広場に不審者が入れないように扉が設置されているか等が問われます。

敷地の周辺環境

敷地の周辺環境に配慮する。

ほぼ毎年出題される項目です。

平成29年のリゾートホテルのときは、「敷地の周辺環境及び景観に配慮して計画する。」となっており、さらに具体的に景観を重視するよう示されていますが、 基本的には、周辺環境への配慮の中に、景観の配慮が含まれています。
つまり、リゾートホテルの課題においては、出題元が特に景観配慮については重要な採点基準にあることを教えてくれているわけです。

集合住宅など、住居系の課題の場合、住居の窓がプライバシーの配慮に欠ける方向に向いていないかも重要になります。


ゾーニング、動線計画、避難

各部門を適切にゾーニングし、明快な動線計画とするとともに、避難等に配慮する。

毎年、表現を変えながら必ず出題される内容です。

ゾーニング」は、各部門がある程度、固まって配置されていれば減点はないと思います。 それがフロアゾーニングされていれば、ゾーニングとしての印象はかなりアップします。

明快な動線計画」というのは、利用者と管理者の動線がクロスしないことと、利用者にとって分かりやすい動線計画かということが問われています。

避難」というのは、ニ方向避難と敷地内通路の幅が確保されているかが問われています。

構造耐力上の安全と経済性

建築物全体が、構造耐力上、安全であるように計画するとともに、経済性にも配慮する。

毎年、表現を変えながら必ず出題される内容です。

なるべく整形な平面計画とすることと、 適切な階高にすることなどが求められます。 直近を振り返ってみると、平成29年の小規模なリゾートホテルのときは、「経済性」という表現が消えています。 標準解答例2を見ると、8m×8mのスパンを使っており、このスパン割りが経済的ではないと言われるのを恐れて、あえて経済性という表現を消したとも考えられます。

構造種別、架構形式、スパン割

構造種別、架構形式及びスパン割を適切に計画する。

毎年、表現を変えながら必ず出題される内容です。

平成27年の「市街地に建つディサービス付き高齢者向け集合住宅」のときは、「基礎免震構造を考慮した構造種別」となっており、
平成28年の「子ども・子育て支援センター」 のときは、「地盤条件を考慮した基礎構造」となっており、
平成29年の「小規模なリゾートホテル」のときは、「敷地の条件を考慮した地下1階の構造及び建築物全体の基礎構造を適切に計画する」となっています。
極めつけは、平成30年で、いつもの表現は事前の発表で公表しておいて、当日の問題文の留意事項には「地盤条件や経済性を踏まえ、建築物全体の基礎構造を適切に計画する。」となっております。

近年は、基礎構造の採点ウェイトが上がっているのではないかと思いますので、べた基礎、布基礎、独立基礎のどれを選定するか、その基礎の根入れをいくつにするか、さらにそれらの理由は何か。 記述や図面の補足で書けるようにしておくことが求められる。

スパン割りについては、そのスパン割りを採用した理由が記述で語れればOKです。 7mや6mの均等スパンであれば、そのメリットは採点者に伝わりやすいので望ましいです。  

部材の断面寸法

部材の断面寸法を適切に計画する。

毎年必ず出題される内容です。

特に、柱を抜いて、PC梁を採用する際の柱断面とPC梁の断面寸法を、必ず記憶しておき、その理由も記述で書けるようにしておきましょう。

耐力壁

耐震性に配慮し、必要に応じて、耐力壁等を設ける。

耐力壁については、2年に1回程度 出題されていますが、近年は「必要に応じて」という表現なので、耐力壁は配置しなくて大丈夫です。
ただし、本番に突然 耐力壁を配置するのが必須となる表現に変わっていたら、どこか1枚でもいいので耐力壁を配置する必要があります。
  読み落としがないように気を付けましょう。

設備

空調設備、給排水衛生設備、電気設備、消火設備等を適切に設け、環境負荷低減に配慮する。

設備の指定があるのかないのかを読み取る必要があります。
上記の表現だけであれば、受験者の自由に設備設計してください。ということになりますが、 平成29年の小規模なリゾートホテルのときには、「外気処理空調機+ファンコイルユニット方式」と指定されました。
平成23年、24年には、「給水設備は受水槽方式」と指定されました。
設備の勉強としては、その年の課題に適した設備を中心に勉強しつつ、設備が指定された時のために、まんべんなく設備の勉強をしておく必要があります。

エレベーター

エレベーターを適切に設ける。

利用人数に応じた適切な規模と台数を選定する必要があります。
また、2階、3階に以上に搬入するものがある場合、管理ゾーンにサービス用エレベーターを計画する必要があります。

パッシブデザイン

自然採光及び自然換気を積極的に取り入れる計画とするとともに、日射の遮蔽にも配慮する。

毎年ではないですが、近年 このパッシブデザインの内容が問われることが多いです。
特に、断面図の表現で、この自然採光、自然換気ができる建物であることをアピールできるようにしましょう。

スポンサード リンク