一級建築士製図の断面図のスピードアップ作図法

第5段階 断面図を早く作図するテクニック

一級建築士製図試験において、第5段階とは、「断面図」の作図のことをいっており、25分以内に完了することを目指します。
もし2時間30分で作図完成を目指すなら、15分以内の完了を目標にします。
ここでは、断面図の作図手順やちょっとした裏技を紹介して、少しでも作図が早くなればと思います。


断面図の苦手意識を取り除く方法

断面図を作図することに苦手意識を持つ人が多いようです。実際、早い人と遅い人で差がつきやすいのも断面図です。
断面図には、パラペット部分の形とか、小梁の位置とか、スラブの下げとか、断面図特有の難しさがありますが、 例えば3階建の場合、平面図が3面描くのに対し、断面図は1面しか描きません。
普通に作図練習に取り組んでいては、平面図の1/3の練習量しか確保できませんので、断面図だけ別で作図特訓する必要があると思います。
その作図特訓の方法は、同じ断面図を時間があれば3連続で描き、時間がなければ、1回づつでもいいので、3日間続けてみてください。
もし仕事の関係で家でゆっくり出来ない場合は、平行定規が使えないので、フリーハンドでかまいません。
この練習で断面図の書き順と、定規で描くものと、フリーハンドで描くものを見定めてください。
例えば、スラブの線は、平行定規を使ったほうが、早くきれいな線が書けるけど、梁はフリーハンドでも見栄えを落とさず早く書ける。  とかいろいろな発見が出てくると思います。

補助線を多用するべし

作図が早い人で、補助線をほとんど書かずに仕上げてしまう達人が存在しますが、凡人は無理だと思ってください。
経験者で、来年に向けてたっぷり時間がある人はチャレンジしても良いかもしれませんが、3ヶ月程度しか期間のない学科合格後に製図に取り組む人にとっては難しいです。
補助線の最初の手順は、まずスパンを三角スケール、もしくはバンコの三角定規を使って、印をつけます。
その次に、その印を使って、高さ方向に梁幅(500mm)に合わせて2本の補助線をひきます。
次に、FL、2階FL、3階FL、RFLの補助線をひきます。その後、小梁位置に印をつけます。そして、間仕切位置や天井ラインにも補助線をひきます。 慣れれば、これらの作業が5分以内で出来るようになります。

決めた作図手順を守る

作図手順は、教える講師によっても違いますし、同じ講師でも各個人でも違ってきますが、それほどこだわる必要はありません。
最初の頃は、予備校で教えてもらった方法をベースに、いろいろ試して、自分に合ったやり方を確立していくのがいいと思いますが、 早めにやり方は、ノートなどにちゃんと書いておいて、イメージトレーニングでもしながら手順を体で覚えてください。


フリーハンドで描く練習は有効

断面図でやっかいなのが、パラペット周辺、トップライトなど、短い線で書きづらいアイテムがあることです。
パラペット周辺やトップライトはもちろんのこと、小梁や大梁などもフリーハンドで書いた方が良いと考えています。
もちろん定規を使っても早く製図が完成する人は定規でよいのですが、普通は30分ぐらいかかっちゃうと思います。
でもそれではダメです。普通の断面図であれば20分程度で書けるようにならないといけません。
そこで、良い練習方法として、フリーハンドで全て書く練習をするとよいと思います
さすがに、補助線は定規を使わないとうまくいかないので、あらかじめ平行定規を使って補助線だけは書いておいて、 それを何枚かコピーしておいて、すきま時間ができたら、会社やカフェで、20分くらい使ってフリーハンドで断面図を描いてみると良い練習になります。
練習を重ねると、意外とフリーハンドでも見栄えが悪くないということに気付くでしょう。

屋上設置物の書きモレに注意

屋上設置物の作図は、さほどややこしくもなく時間も掛からないのですが、書き漏れると減点されるものが多いので注意が必要です。
例えば、電気室を計画していない場合は、屋外キュービクルを表記しないと、建築的常識として減点が大きいと思います。
書くのに時間がそれほどかからないので、他にも太陽光発電パネル、屋上緑化ユニット、雨水散水など、いろいろ書ける準備をしておくと良いでしょう。
それに加えて、図面の補足を文字で書けば、加点が期待できます。

平面図との不整合に注意

断面図で怖いのが、平面図との不整合です。よくあるのが、部屋名が図面と違っていることです。平面図では男子便所となっているのに、断面図が女子便所になっていたり 平面図では多目的室なのに、断面図がレストランになっていたりします。
そんなことある!? って思うかもしれませんが、意外とあります。
また、トップライトの位置もよくずらして書いてしまう人がいます。
さらに、バルコニーや庇や鉛直ルーバーなんかも平面図では書けているのに断面図では漏らす人がけっこういますので注意しましょう。

記述との不整合に注意

記述で太陽熱集熱パネルのことを書いている場合は、断面図にも表記しておかないと記述と図面との不整合で減点になります。
また、振動や下階への音の配慮で二重床としたことを記述でアピールしたなら、断面図の該当するスラブを二重床で表現する必要があります。
記述でアピールしたことであれば、断面図にも表現しておかないと減点になる可能性が高いです。

パッシブデザインを断面図で積極的にアピールする

断面図はパッシブデザインをアピールするのに有効です。
トップライトと開閉式の換気窓や欄間を表現し、そこに矢印で風の流れを書いておくことと、 トップライトから共用部に自然採光が降り注ぐのが分かるよう矢印を書いておくと図面の印象がアップします。

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