一級建築士製図

令和7年(2025年)課題発表

令和7年の一級建築士 設計製図試験の課題


◆課題名
「庁舎」

◆要求図書

・1階平面図・配置図(縮尺1/200)
・各階平面図(縮尺1/200)
  ※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。

・断面図(縮尺1/200)
・面積表
・計画の要点等

◆建築物の計画に当たっての留意事項

  • 敷地の周辺環境に配慮して計画する。
  • バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して計画する。
  • 各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
  • 大地震等の自然災害が発生した際に、建築物の機能が維持できる構造計画とする。
  • 建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
  • 構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
  • 空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。
◆注意事項
 「試験問題」及び上記の「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、
「設計製図の試験」に臨むようにしてください。
 なお、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不適合又は不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。

過去の類似課題

平成2年 地方公共団体の庁舎

30年以上前になるので、過去問もあまり役に立たないですね。

「階数」の指定がない

今年の要求図書には、「※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。」という記載になっています。
これは、近年多いやり方で、しばらくはこのトレンドが続くのでしょうか。
5年前までの試験は、ゾーニングタイプなのか、基準階タイプなのかは、課題発表時点ではっきりしてました。
今年は、3階建のゾーニングタイプかもしれないし、5~7階建のような基準階タイプかもしれない。現時点ではわかりません。
個人的には、3階建のゾーニングタイプの可能性が高いと思いましたが、直近数年の出題のトレンドを考えると、基準階型も十分ありえるので、結局のところ、どっちも可能性があるという受験生にはつらい課題発表だったと思います。

庁舎とは?

庁舎といえば、なんなのかをまずは知っておきましょう。
庁舎とは、役所や官庁が業務を行うための建物のことを指します。
たとえば、市役所庁舎や県庁庁舎などがその例です。
この建物の中には職員が働くオフィスや、住民が利用する窓口、会議室などが設けられていて、行政サービスを提供するために使われています。
1級建築士で出題される規模感からすると、県庁舎であれば、県庁舎の敷地内の一部建物の建替えや、市庁舎の本館などが考えられます。
本命は、市庁舎でしょうか。

また免震なのか?

「建築物の計画に当たっての留意事項」に昨年追加された「大地震等の自然災害が発生した際に、建築物の機能が維持できる構造計画とする。」の一文が今年も残っているのと、庁舎という用途から考えても、ことしも免震構造の知識は必須となりそうです。

どんな庁舎が出題されるのか?

市庁舎の機能構成は、行政関係部門と議会関係部門に分かれる。
この議会というのがくせ者で、議会場は、段床形式にすることも多いので、昨年の大学で出題された講堂のように、また段床形式が出題されることも想定しておきたい。
施設の利用者には、市民、議員、職員が含まれ、利用する目的、用途、行動などが異なるため、動線を適切に分離する必要がある。
したがって、エントランスの計画も、市民が日常利用するメインエントランス、職員・サービス用のエントランス、議会用のエントランスをそれぞれ別に設けることが望ましい。ことしの庁舎の課題は、これらの利用者別のエントランスをどこに設けるかを含めた動線計画が一番 頭を悩ませるところなのかもしれない。
また、市庁舎の行政部門の窓口は、来庁者の70~80%程度が利用すると言われているので、メインエントランスに接した分かりやすい位置に設けることが望ましく、市民にとってわかりやすい建物というのも重要な要素と言える。
議会関係部門は、行政関係部門とは別組織なので、かなり厳格なゾーニング分けが必要になってくると思います。
オーソドックスなのは、議会関係者は利用者が限られるので、別棟にするか、建物の上層に計画するというのがセオリーかと思います。
駐車場に関しては、都会になってくると地下駐車場が多いですが、1級建築士の製図試験では、よくある車椅子用駐車場を1~2台とサービス用駐車場1台だけという出題が可能性高いでしょうか。

庁舎で想定される要求室

◆行政関係部門

  • 執務室: 職員が業務を遂行するオフィス空間。
  • 総合窓口: 市民の相談、申請、証明書発行などに対応する場所。
  • 待合所: 総合窓口の順番待ちで待機する場所
  • 応接室: 外部との打ち合わせや来客対応用。
  • 会議室: 職員間や部門間の連携を図るためのミーティングスペース。
  • 資料保管室: 公式書類やデータを保管するスペース。
  • 災害対策本部室: 緊急事態時に使われる指揮本部。
  • 休憩室: 職員のリフレッシュ用。
  • 書庫: 長期保管が必要な重要資料を保存する場所。

◆議会関係部門

  • 議場: 議会の本会議や審議が行われる主要な空間。
  • 委員会室: 各委員会が議論や打ち合わせを行う場所。
  • 議員控室: 議員が待機・準備を行うためのスペース。
  • 正・副議長室: 議長、副議長の執務および相談スペース。
  • 議会事務局室: 議会運営をサポートする事務局の業務空間。
  • 議会図書室: 議員が参考資料を調査・閲覧できる場所。
  • 議会傍聴者ロビー: 傍聴者が待機したり寛げるエリア。
  • 会派室: 各会派が会合や業務を行うための部屋。
  • 応接室: 外部訪問者や関係者との打ち合わせ・面談用。

◆共用管理部門

  • 多目的室: 地域住民や行政イベントの利用目的に対応可能なフレキシブルな場所。
  • レストラン: 庁舎の利用者だけでなく、地域住民に開かれたレストラン
  • カフェ: 庁舎の利用者だけでなく、地域住民に開かれたカフェ
  • 売店: 地域の物産、文房具、日常品等
  • 事務室: 建物管理職員の事務室、待機室。
  • 更衣室: 建物管理職員の更衣室、休憩室。
  • 設備機械室: 空調・電気設備などのインフラを管理するエリア。

製図スピード2時間30分を目指せ

今年も、梁伏図の出題はなく、3平面プラス断面図になりそうですね。
一般的には、梁伏図は15分~20分ですぐに描けるようになるので今年学科合格した初受験の人にもすぐ対応できることと、 直近では梁伏図が出題されていないことから、既受験生の方が有利な課題条件ですね。
3平面ですから、初受験生は、まず作図力強化に時間を取られるでしょう。
まずは8月中に、作図トレース3時間を目指しましょう
既受験生は、2時間30分を目指しましょう
本番は、今までにない作図を求められたり、いつもよりも丁寧に描いてしまうため、プラス10分~20分かかると思った方が良いです。

「庁舎」の建築物を見学する

まずは、実在する庁舎はどのような計画になっているか、調べるところから始めると良いでしょう。
たとえば、建築資料の本を買って読むのがいいですね。
おそらく、毎年のことですが売切れになっているかと思うので、電子書籍(Kindle版)であれば、売切れはなく、すぐダウンロードして読めるので便利です。

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おすすめの見学したい建築物がありましたら、ここで改めて紹介したいと思います。
どのような庁舎の計画があるか、知識を蓄えておくと良いです。

こだわりの製図道具を揃える

まだ製図道具を今から買うという人は、買いに行く手間がもったいない。
どの道具を買うか迷う時間ももったいない。
Amazonや楽天市場などのネットショップで買ってしまうのがオススメです。

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