一級建築士製図エスキスの平面検討でのスパン割り・グリット

手順(11) 平面検討(スパン割り)

このページでは、エスキスの手順(11)として、平面検討のスパン割り設定の仕方を学びます。

スパン割りとは、柱~柱間の寸法のことで、基本は7m×7mとし、建築可能面積や要求面積により、違うスパン割りを採用することもあります。

スパン割りの仮確定をしますが、大切なのはこれが確定ではないということです。 
いくつか変更できるパターンを持った上で先に進むのが良いです。


要求室が40系、50系か?

要求室が、50㎡の倍数(50、100、150、200)が多い場合、7m×7mグリットを検討します。
また、30㎡や35㎡の部屋も、1グリットに廊下の面積をひいたら、ちょうど30~35㎡になり、 70㎡や80㎡の部屋も、2グリットに廊下の面積を引いたら、ちょうど70~80㎡になることから、 7m×7mグリットを採用したら、ほとんどの場合、うまくいくことが多いです

要求室を配置するうえで、スパンが足りなくなる場合や、 要求室が、40㎡の倍数(40、80、120、160)が多い場合、7m×6mグリットを検討します。

建築可能範囲の都合により、6m×8mというグリット設定もありです。

今回の課題の場合、要求室の面積を見ると、50㎡の倍数が多いことから、7×7グリット、もしくは6×8グリットが良さそうということが想像できます。





スパン割り(例)

また、条件整理の建築可能範囲を見て、横7m×6スパン、縦7m×4スパンが良さそうに見えます。
7×7グリットで建築可能範囲に配置すると、21コマ配置でき、計1029㎡となります。

スパン割りのときに、建ぺい率に違反していないかも確認します
今回、建ぺい率は60%と厳しく、最大1080㎡となります。 つまり建ぺい率は大丈夫そうです。



スパン調整の幅を確認

建築可能範囲の横幅44mなのに対して、想定スパン割りは、7m×6スパンで42mなので、2m余ります。
2m増やすと、建築面積が1029㎡+56㎡=1085㎡ となり、建ぺい率オーバーとなります。
では、1m増やせば、1029㎡+28㎡=1057㎡ で建ぺい率はOKです。

さらに、手順(9)断面検討で求めた「延べ床面積から求めた1フロアあたりの必要面積(1040㎡)」と比較します
全て7mグリットの場合の1029㎡は、1040㎡以下となっており、数字も近いのでうまく納まりそうです。

一方、横幅を1m増やした1057㎡の場合は、1040㎡よりも17㎡大きいので、プランニングの際、1フロアあたり17㎡余るので、吹抜やピロティなどで面積調整する必要がありそうです。

ここでは、あくまで想定で良いので、一旦7m均等スパンで進めて、どうしても納まらない部分がでてきたら横幅を1m調整するつもりで先に進みます。

6mスパンを使いたい場面

例えば、西側のみが景観良好な条件となっている場合で、 要求室の特記事項に、景観配慮の室が5スパン必要な場合で他の階に振り分けられない場合を想定します。

この場合、6mを5スパン並べられないかを検討します。
これで、へりあきが足りなくなる場合は、広場の形状を変更したり、駐車場の停め方を変更できないかも検討します。 
場合によっては、サービス用駐車場を串刺しにしてでも、5スパン確保を優先することを決断する必要があるでしょう。

また、建築可能範囲の都合で6mスパンを採用すべきことも、よくあります。
たとえば、南北方向の建築可能範囲が24mしかない場合、6mスパンが4スパンとれますが、7mスパンだと、3スパンしかとれません。
どうしても7mスパンを使いたい事情がある場合は、広場や駐車場等の配置を再検討して建築可能範囲が広げられないかを再検討すべきですが、難しい場合は、6mスパンが最有力となります。

スパン割りは変更幅を持たせておく

スパン割りをここで確定させてしまうと、あとのプランニングで苦しむことがあります。

まずは、均等スパンを基本としたスパン割りで仮確定して、 一旦、X方向7m×6スパンで仮確定したけど、6m×7スパンでも可能であることや、 「X方向2m、Y方向1m余裕がある。」等、建築可能面積内でどれだけ余裕があるかも確認しておくと、 後で面積調整したくなったときにスムーズにできます。

まとめ

いかがでしたか?
このページでは、エスキスの手順(11)として、平面検討のスパン割り設定の仕方を学びました。
明日から、あなたは、スパン割りの達人ですね。

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