一級建築士設計製図プランニングの基本 吹抜けテクニック
課題文に吹抜けが指定されたとき、エスキスの難易度が上がります。
この吹抜けの位置をいろいろ動かしながら、あーでもない。こーでもない。と苦しむ人も多いでしょう。
そんな吹抜け苦手さんのために、吹抜けのプランニングの基本を紹介します。
そもそも、吹抜けは、なんのために設けるのか?
そんな疑問がある人にはぜひ知ってもらいたい内容です。
上下階の空間を連続的にする。
吹抜け空間を通じて、1階と上階がそれぞれ見渡せるようになることで、建物の内部構成が利用者にとって分かりやすくなります。
特に、エントランスホールの上部にある吹抜け空間は、この効果が大きいです。
明るい空間となる。
吹抜け空間を外壁際に設けた場合、2層にまたがる大きな開口部を設けることができ、明るい空間になります。
建物内部に吹抜けがある場合も、上部にトップライトを計画することで建物内部が明るい空間となります。
開放的な空間となる。
吹抜けを設けたところは、閉塞感がなくなり開放的な空間となります。
特に、広いエントランスホールのように、水平方向が開けた空間では、狭い天井が閉塞感を生みやすく、一部でも吹抜けがあるだけで開放的になります。
課題文に吹抜けを指定された場合、どのあたりに吹抜けを設けるべきなのか迷う人は多いと思います。
50㎡や80㎡など、1グリット以上必要な吹抜けを要求された場合、プランニングの早い段階で位置を想定しておく必要があります。
後から1グリット分の吹抜けの場所を探すのは困難です。
もし吹抜け位置に特別な指定がない場合、まず第一候補として検討したいのが、エントランスホールにある風除室上部です。
エントランスホールにはコアが近接していると思うので、上階もコアと吹抜けが隣接して、上階ホールをきれいに構成でき、残りの部屋も計画しやすいです。
建物中央に吹抜けを設けた方が良い場合があります。
例えば、下記のケースでしょうか。
課題文に「地上1~3階の空間の連続性を考慮した吹抜けを設ける」と3層吹抜けを指定された場合は仕方ないですが、特に指定がないのに3層吹抜けにチャレンジする人が多いですが、やめた方がよいです。
3層吹抜けにすると、2階、3階の吹抜け周囲は、防火防煙シャッターで囲う必要があり、1階は防火防煙シャッターで囲った上で場合によっては避難を考慮してくぐり戸を設ける必要があります。
プランによっては、避難上の配慮で、別のところに避難ルートを確保する必要も出てくる可能性もあります。
それでも、任意でパッシブデザインらしく自然通風、自然採光を建物中央部に取り入れたい場合は、光庭を2階、もしくは3階に計画してください。
光庭であれば、防火防煙シャッターは不要で計画しやすいです。
いかがでしたか?
吹抜けへの苦手意識は取れましたか?
吹抜けを制すれば、プランニングが得意に変わります。
どこに吹抜けを設けるかで、プランニングの優越がかなり変わります。
今後、吹抜けで迷ったら、いつでもこのページに戻ってきてくださいね。