一級建築士製図エスキスの課題読み取り1回目

課題の読み取り1回目

課題の読み取り1回目は、全体を俯瞰するために、マーカーは使わず流し読みしますか?
もちろんそれでもかまいません。
今回 提案するのは、オレンジ色のマーカーを使い、エスキスをする上で最重要な内容をマーキングを、読み取り1回目の段階で行います。
これは、一発ランクⅢを回避するためのテクニックなのでおすすめです。

このページでは、何をオレンジ色に塗るのかというのを、紹介していきます。


建ぺい率

建ぺい率の制限は、必ず毎年出題されますが、60%、70%のときは要注意です。
2018年の「健康づくりのためのスポーツ施設」の課題では、建ぺい率70%でしたが、 7m均等スパンの6×4グリットで検討を進めたら建ぺい率NGとなる課題だったため、 25.9%という多くのランク4を出す結果となった最大の要因になったと思われます。
合格者の多くは、1スパンだけ6mスパンとして面積調整しています。


上図のマーキングの例は、当サイトオリジナル長期課題①の問題文を抜粋しています。
画像をクリックすると、別ウィンドウで問題文全体をPDFで見ることができます。

高さ制限

敷地及び周辺条件の中で、建物の高さ制限を指定してくる場合があります。
例えば、2017年の「小規模なリゾートホテル」の課題では、「建築物の高さの限度はGL+12mとする」と指定されました。
これで大減点となりランクⅢとなってしまった人もいるかと思います。

外壁の後退距離

敷地及び周辺条件の中で、外壁の後退距離を指定してくる場合があります。
例えば、2017年の「小規模なリゾートホテル」の課題では、「外壁の後退距離は、前面道路の境界線から5m以上とする。」と指定されました。

この場合、柱芯でへりあき5mではNGです。
柱型のことを考慮すると、6m以上へりあきを確保しないと減点されるので注意が必要です。


勾配屋根

その年の課題により、勾配屋根の可能性がある場合は要注意です。
最近では、2013年、2014年、2017年で勾配屋根が指定されています。
これによる減点もかなり大きいと思われるので要注意です。

さらに、勾配屋根の勾配の大きさが指定されるときがあるので、合わせて注意が必要です。
例えば、2017年の「小規模なリゾートホテル」のときは、「2/10以上の勾配屋根」と指定されています。

眺望に配慮

要求室の特記事項に、眺望の指定がされる場合がよくあります。



設置階指定

要求室の特記事項に、設置階が指定されたら要注意です。



天井高指定

要求室の中に天井高が指定されている場合は、その指定された天井高を満足させるのに、階高がどれだけ必要なのかを考えましょう。
もし広い面積の室であれば、特定天井による吊り天井とするので、階高は、天井高+1.5m(できれば2m)は最低確保したいです。
下図の場合は、天井高5m以上となっているので、最低6.5mの階高が必要と考えると、上部吹抜とした2層分の大空間が必要となります。

さらに、下図の場合は、「無柱空間」の指定があるので、柱の抜き忘れがないようにしましょう。



円指定

要求室の特記事項や、外部施設の広場系のものに、円指定がされることがあります。
例えば、2016年の「子ども・子育て支援センター」のときは、屋外遊戯場が、「直径5mの円が1つ以上入るスペースとする。」と指定されました。
また、2013年の「大学のセミナーハウス」のときは、要求室の1つであるアトリエの特記事項に、「開口及び奥行きは心々10m以上とする。」と指定されました。

直径5mの円が1つ以上入るスペースという表現に注意が必要です。
柱型を考慮すると、芯々6m確保するつもりでエスキスをすすめないと5mの円が確保できない可能性があります。

〇〇と一体的

要求室の特記事項に、「〇〇と一体的」という表現が使われることがあります。
例えば、2013年の「大学のセミナーハウス」のときは、食堂の特記事項に、「屋外テラスと一体的に利用できるようにする。」と記載されました。
2014年の「道の駅」のときは、レストランで同様の指定がされました。

吹抜

要求室の中に、吹抜の指定がある場合があります。
エントランスホールに代表されるような室を特定して吹抜要求される場合と、どこでもいいから吹抜を設けるよう指示がある場合があります。
さらに、2018年の「スポーツ施設」のときのように、「1階から3階までの吹抜け」と指定される場合もよくあります。

アプローチ指定・動線計画

要求室の中には、細かく動線を指定してくる場合があります。
例えば、2010年の美術館では、レストランの特記事項に「外部からも直接アプローチできるようにする」と明記されています。

また、2015年の高齢者向け集合住宅では、機能訓練室の特記事項に「食事はレストランの厨房で調理する」と明記されています。
これは、間接的にレストラン厨房からの動線を確保することが求められており、この動線と利用者動線がクロスしたら減点となります。

まとめ

いかがでしたか?
このページでは、課題の読み取り1回目で、 エスキスをする上で最重要な内容を、オレンジマーカーでチェックすることを学びました。
きっと、これで明日から一発ランクⅢは回避できますね。


課題読み取り2回目テクニック

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